坊ちゃん

お乳母日傘
(おうばひがさ)

子供に乳母をつけ、日傘を差しかけて
大事に育てること。
富裕な町家などでの子供の育て方をいう。

実家が商店で
私が生まれたころまでは羽振りがよく、
住み込みで働いている人たちも
代わる代わる何人もいました。

母親は、説明するより自分でやっちゃうタイプで
それは子育てより商売に向かっていたので、
成り行きで、Rさんという未婚の女性が
私の乳母みたいな役割になっていました。
私がたいそう懐いていたのが
もしかしたら先なのかも知れませんが、
なにしろ私には乳母がいたんです。

日傘の方は、当時の下町で日傘と言ったら
よほどオスマシさんが使う程度で
Rさんは新潟出身のたくましい女性でしたので
さすがに使っていませんでしたけど、
ちょっとお腹が痛いとか熱っぽいというだけで
店が閉まった後に自動車に乗せられて
とっくにご飯でも食べているだろう町医者に
無理やり診てもらうのが常でした。
気の毒なH先生でした。

そういう育てられ方なので
当然のように、わがままで忍耐を知らない
嫌なマセガキに育ちましたけど、
そのツケを清算するのに
結構な年齢までつらい目に遭ったので、
好かったのだか悪かったのだか、
ただ、姉たちからは
「お前だけ甘やかされて、、」と
私のせいではないことで恨みを買っており、
そっちの方は不幸なことでした。

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