しばらくぶりで出会ったとき、
握手をして、さてそれから、
その後いろいろなことがありました、
という意味のことをいうのに、
「橋の下をたくさんの水が流れました」という
– 開高健 –
私は、暗記物は苦手なくせに
むかしむかしの、ほんの些細な場面を
よく覚えていたりして、
何かの拍子にそれについて話すと
相手はすっかり忘れていて
かろうじて思い出して
私の記憶について不思議がるのです。
私からすれば
あれだけ印象的な場面を忘れるなんて
それこそ信じられないのですけど
たぶんその人たちは
橋の下を流れる水の事なんか
はなから気にしていなかったのでしょう。
開高さんのセリフを言い合える相手は
本当に少なくて、貴重ですね