小原庄助さん

朝酒は門田を売っても飲め
(あさざけはかどたをうってものめ)

朝酒の格別のうまさをいったもの。
「門田」は、屋敷の入口にある田で、
その家の最もよい田とされる。

大酒呑みだった頃
朝から呑むことも珍しくなかったけど、
別に門田を打るほど旨くはありませんでした。
というか、あまり裕福でなかったので
そもそも高級酒とは無縁で、
ただ、力仕事のあとのビールのような
状況による旨さを楽しんでいたけど、
まだ昨日の続きみたいな朝酒は
そういう旨さも感じるものではありません。

あえて言えば”禁断の旨さ”でしょうか?
一般の人がこれから出勤しようという朝に
”特権階級”の自分は呑んでいるみたいな
完璧な錯覚を味わっていた可能性はあります。
歪んでますね。

もちろん、まっとうな人が
祝いの日、祭りの日など”ハレの日”に
特別に呑む朝酒は
特別な日の旨さがあるに違いなく、
でも冒頭のことばは
そういう健全な人のものではなさそうです。
愛すべき呑んだくれの戯言でしょうとも